• 監督:デヴィッド・コープ
  • 製作国:アメリカ/字幕
  • 日本での公開日:2015年02月06日
  • 鑑賞方法:映画館・劇場
  • 鑑賞場所:シネマヴィレッジ8・イオン柏
  • ジャンル:アクション, コメディ
  • おすすめ度:★★★
  • 個人的に好き度:★★★★☆

陸奥新報 映画散策記事

 “キワモノ俳優”としての地位を確立したジョニー・デップだが、プロデューサーの手腕も持ち合わせているようだ。彼が今回演じたのは、ちょびヒゲのおちゃめな美術商チャーリー・モルデカイ。本作の原作小説を気に入っていたデップは、「トランセンデンス」で共演したポール・ベタニーに自ら出演を打診するなど、映画のために一役買ったという。
 インチキ美術商のイギリス貴族・モルデカイは、多額の借金を抱え破産寸前。妻のジョアンナ(グウィネス・パルトロー)は、彼のちょびヒゲにアレルギーを起こし、むつまじかった夫婦仲にも亀裂が入っている。そんな中、MI5(英国諜報部5部)の警部補マートランド(ユアン・マクレガー)がモルデカイに、盗まれたゴヤの名画を探し出すよう依頼する―。
 モルデカイの憎めないキャラクターが、一番の魅力となっていた。彼がかっこいいところを見せたのは、作中2回くらいしかないのだが。妻とちょびヒゲをこよなく愛し、不死身のような用心棒ジョック(ポール・ベタニー)を連れて世界を飛び回るモルデカイに引き付けられてしまうのだ。
 彼のおかげもあって、テンポが良いコメディーに仕上がっていたと言えるだろう。監督はデビッド・コープ。同監督作でジョニー・デップ主演の「シークレット ウインドウ」とは全く違う作風に驚かされた。
 吹き替えもあり、子どもが見ることを期待しているのだろうが、特殊な設定も手伝って結構ラブシーンが多かった。お子さま連れの方は要注意。

2015年02月27日付 陸奥新報掲載 (船)

雑 記

2014年11月14日、“2014 Hollywood Film Awards”でジョニー・デップが大失態をやらかした。映画の紹介役として登壇したのに、前後に揺れたり、放送禁止用語を言ったり、明らかに様子がおかしい。
このとき彼は、何と泥酔していたらしい。彼の失態は全米のテレビで生放送されており、物議を醸した。

なんと本作でも、そのネタが笑い話として取り上げられている。「とある授賞式で泥酔した俳優が〜」という感じで。自虐もいいところである。

 

本作は、調べたところ評判が悪いらしい。
個人的には楽しめたのだが…。昔ジョニー・デップにかなり入れ込んでたので、フィルターがかかっているのかもしれない。

チェロキー族の血を引き、バリバリのアメリカ人であるはずのジョニー・デップが、イギリス人貴族を演じるのは面白いと思うのだけど…。

 

原作となったキリル・ボンフィリオリの小説『チャーリー・モルデカイ (1)  英国紳士の名画大作戦』を途中まで読んだが、モルデカイが結構頭の働く確信犯になっていた。第二次大戦中に訓練を受けていたのもあって、程々に体術も使える。映画とは大違いの設定…。

最初モルデカイに妻はいなかった。ジョハナという名前の女性は後半以降に出てくるようだが、違うキャラクターの妻と紹介されている。はて…?

この小説実は、P・G・ウッドハウスのバーティー&ジーヴスにかなり影響を受けている。モルデカイはバーティー・ウースター紛いの格好をしているし、事あればジーヴスシリーズの台詞を引用する。映画のモルデカイは、かなりバーティーに近い性格のお茶目(で頭の働きが鈍め)な貴族。その方がウケが良いと考えたのだろう。
ジョックの立ち位置がジーヴス。かの天才執事と違ってジョックは荒っぽく口が悪いが、主人に対する気配りの細やかさがクリソツである。ただし原作では、ジョックがモルデカイを呼ぶ時“Mr Charlie”と言うのだが、映画だと“Sir”呼びになっている。これもジーヴスの執事口調に合わせたと考えられる。

つまり結果的に「(モルデカイ原作+ジーヴスシリーズ)÷3くらい=モルデカイ映画」となっているのだ。薄まってる…!

余談だが、バーティーに妻はいなかった。恋愛は何度かすれど、文字通りの独身貴族。ジーヴスが知略をめぐらし、主人を結婚から遠ざけたから。(冗談ではなく、本当にそういう話。『それゆけ、ジーヴス』を参照のこと)

原作小説は映画より下ネタばかりで、暴走が激しい。ハンター・S・トンプソンを敬愛しているジョニー・デップが気にいる訳だ。
しかしこの映画、原作にできるだけ沿う方向にはできなかったのだろうか。『ラスベガスをやっつけろ』みたいに。
現在出版されている日本語訳本はちょっと読みづらいが、映画と全く違うモルデカイもいいかと思う。果たして、モルデカイは妻を得ることができるのか。

 

ジョックの名字はストラップ。フルネームで検索するととんでもないことになる。 決して検索しないように。