• 監督:トラヴィス・ファイン
  • 製作国:アメリカ/字幕
  • 日本での公開日:2014年04月19日
  • 鑑賞方法:映画館・劇場
  • 鑑賞場所:シネマヴィレッジ8・イオン柏
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • おすすめ度:★★★★☆
  • 個人的に好き度:★★★★☆

陸奥新報 映画散策記事

 育児放棄されたダウン症の男の子、マルコ。そして、親身になって彼を育てようとする同性愛者のカップル。避けられがちなテーマを大胆に取り上げたのが本作だ。題名にもなっているチョコレートドーナツは、マルコの好物。
 母親が薬物使用で逮捕されたため、施設送りになったマルコは、施設から逃げ出したところをゲイのルディに助けられる。ルディは検事局勤務のポールと共に、マルコを本当の子どものように育て、愛情を注ぐがー。
 障がいを持ちながらマルコを演じたアイザック・レイヴァと、ルディ役のアラン・カミング(ロバート・ダウニー・Jr.と、若い頃のダスティン・ホフマンを足した顔立ち)の演技が光っていた。ポールのせりふにはギョッとさせられた。愛している子のはずなのに、けなすような発言ではないかと引っ掛かる部分があった。
 昨今、欧米諸国で同性婚合法化の動きが活発化している。同性愛者がおしなべて逮捕されたり、病院に強制入院させられていた頃からは着実に進歩しているものの、日本ではいまだ偏見は根深い。
 本作の舞台となったカリフォルニアは、ハーヴェイ・ミルク(1977年サンフランシスコ市市議会議員に当選、翌78年暗殺される)らの働きもあって、早々に同性愛者の権利を認めた州だ。しかし本作は70年代末期を描いているので、ちょうどミルクの活動時期と重なり、転換期だった。マルコがもう少し遅く生まれていたら、このようなラストにはならなかっただろう。

2014年10月13日付 陸奥新報掲載 (船)

雑 記

同性愛を扱った近年のヒット作は『ブロークバック・マウンテン』。
『ブロークバック〜』ではクローゼット・ゲイ(隠れ同性愛者)がテーマだった。
カミングアウトできない、打ち明けられないという思いがつまった作品であった。

しかし最近の同性愛問題は、どちらかと言うと法的な権利主張ー例えば同性婚や養子の問題などーによるものが多い。
『チョコレートドーナツ』は、同性愛者による奮闘の側面を、上手く描いている作品であるといえる。
年代や場所の設定も絶妙である。

 

陸奥新報の原稿には、文字数制限のため「同性愛者がおしなべて逮捕されたり、病院に強制入院させられていた頃からは着実に進歩している」と省略して書いたものの、あくまで「おしなべて」なのだ。
やはり地域で差がある。逮捕されたり殺されたり、ニュースが今も飛び交う。宗教的な意識の違いもあるだろう。

 

本作においては音楽もよく、70年代のヒット曲で彩られている。(私は80年代生まれなのでいまいちピンと来ないけれど)
ルディが歌い上げる数々の曲が、心に染み渡る。

 

ハーヴェイ・ミルクについてはドキュメンタリー映画『ハーヴェイ・ミルク』(1984年)、もしくはショーン・ペン主演『ミルク』(2008年)を参照のこと。